むさ日記(仮)

南河内から見たいものを見ています。興味あること以外は興味ありません。

大阪の電波塔、知ってますか?

 みなさん唐突ですが

テレビ、見てますか?

いやまあ「最近はあんま見てないな〜」という方も少なくないと思います。若者のテレビ離れなんてのは今に始まったものではないですし、もっともこのブログもインターネットを通して公開していますし、これを読まれている時点で恐らくテレビからは目を離していることでしょう。

 しかしまあ、テレビを見たことがない!という方は恐らくいないのではないでしょうか。もしいれば今回の話にはついていけないと思います。ご容赦ください。幼い頃に見た教育テレビの番組、あるいはフジテレビのバラエティなんかの思い出が強い方も少なくはないと思います。今日はそんなテレビに関するお話。

 

 皆様ご存知の通り、NHK総合だとか日本テレビとか、所謂地上波放送と呼ばれているテレビ局は、送信所と呼ばれる塔から極超短波の電波を飛ばして各々の家庭に番組を届ける形で放送されています。東京を中心とする関東広域圏の場合、高さ634mの東京スカイツリーがそれを担っていることはここで敢えて説明する必要もないでしょう。

 では我が国で東京に次ぐ第2位、世界でも有数の大都市であろう大阪周辺の地上波テレビはどこから送信されているのでしょうか。正解は、というと大阪と奈良の県境にある生駒山。大阪近郊のテレビを送信していると言うのに、修学旅行のルートにも入れられるスカイツリーと比べると明らかに知名度は劣っており、観光地として名前が挙げられることも少ないこの山から送信されています。これ、大阪在住の方でも知らない方は一定数いるような気もしますね。

 まあとにかく、私自身も大阪に引っ越して1年、確かに子供の頃よりは減ったとはいえ暇つぶしにテレビは視聴していると言うのに、この生駒山には行ったことがない!というのは流石に見る資格がないのでは?と今回ふと思い立ったわけです。北九州親局は行ったのに大阪親局を知らないでどうする!という謎の使命感を片手に、ある日突然生駒山へと向かうことを決意するのでありました。

(参考:前回のあらすじってほどでもない前回のブログ)

musata.hatenablog.jp

 

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 と、いうわけで南大阪線沿線からはイマイチ行きにくい生駒まで道明寺・柏原・王寺経由で乗り継ぎ、生駒駅からもケーブルカーを乗り継いで2時間相変わらず接続は悪かった生駒山上駅へと到着しました。今回旅行した時はちょうどリニューアル工事の真っ最中、既に新しい看板が付けられ準備は大詰めとなっていました。

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 生駒山の頂上付近は近鉄グループの運営する「生駒山上遊園地」となっており、隣接する「PLAY PEAK ITADAKI」とともに近鉄電車の中吊りではおなじみの施設となっています。しかしこの時期は冬季休園中。関係者の方が作業はされていましたが、当然閑散としていました。それにしても頂上なのは変わりがない、大阪平野奈良盆地の両方の景色を見ることができました。

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 で、その中を歩いていると唐突に現れるのがこの一角。遊具のすぐ隣にある彼ら、飛行塔は別に園内にありますがこの形の建造物はもちろん遊具ではありません。その正体は、、というとここまで散々書いてきましたが在阪テレビ局の大阪親局がこの生駒山上遊園地の園内に設置されています。標高642mの山の上にある程度の高さの塔が建てられていますから、スカイツリーよりも高いところから飛ばしていることになりますね。

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 まず一番手前にあるのが讀賣テレビ(ytv)と毎日放送(MBS)のテレビ送信所、かつてはytvのみがここから送信されていたようですが、デジタル化に際しこの塔からMBSも送信されるようになったとのこと。

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 その隣にあるのが朝日放送(ABC)、テレビ放送とワイドFMのラジオ放送をここから送信しています。ちなみにAMラジオは高石市の高石送信所から送信されているとのこと。レトロな表札の社章は現役のものなんだとか。

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 こちらは関西テレビ(KTV)、略称の「カンテレ」の方が定着しているでしょうか。こちらはデジタルテレビ放送のみを送信しています。

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 こちらはNTT西日本の無線中継所、テレビを送信している以上電波の届きやすいところですから、このようにテレビ以外のアンテナもいくつか設置されています、

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 こちらがMBSラジオラジオ大阪(OBC)のワイドFMの送信所、かつてはこの塔からMBSのテレビも放送されていました。

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 少し離れたところにあるのがNHK、総合テレビと教育テレビ(Eテレ)の設備を共用しているとのこと。

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 と、見ての通りたくさんの電波塔が並んでいるわけなんですが、ここ生駒山は大阪と奈良の県境。この道一本隔てて大阪府東大阪市奈良県生駒市が分けられているというわけです。電波塔はその両側に建てられており、ytvとABCの送信所が奈良側、それ以外が大阪側となっています。ここからは、奈良側・大阪側両方を少し降りて中腹に建てられている送信所を見に行くことにしましょう。

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 まずは奈良側、道自体はあるのですがあまり整備されていないような場所を降りていきます。2回ほど滑って転倒したのは秘密

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 10分ほど降りると現れました。こちらが奈良テレビ(TVN)の送信所、文字通り奈良県内のみをサービスエリアとしている為、大阪側に電波の届かない奈良側の中腹に親局が建てられています。

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 こちらはNHK総合NHK-FMの生駒奈良北中継局、NHKの両局は奈良県内で県域放送を行なっている為、この場所から放送が行われています。ちなみに奈良親局は大和郡山市斑鳩町に跨る松尾山に設置されていますが、教育テレビは同局からの送信が行われていない為、この中継局からの電波を受信する局が多いのだとか。

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 さて、一度頂上に戻って今度は大阪側に降りてみることにしましょう。それにしても見晴らしが良い生駒山の山頂、この日は天気が良かったので大阪市内は勿論、北摂山系の山々まで見ることができました。ちなみに奥に見えるのはFM COCOLOの送信所です。

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 そして次は大阪側に降りてみることとします、こちらはハイキングコースとしてある程度整備されており、途中で人とすれ違うことも度々ありました。

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 30分ほど降りたところにようやくありました、大阪唯一の府域局テレビ大阪(TVO)の送信所です。こちらはTVNの逆、大阪府側のみを視聴エリアとしている為この場所に設置されています。地形の都合こうなったのでしょうが、ここまで見てきた局の中で一番立派な作りになっています。

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 実際のところこちら側に降りてきたのはTVOの送信所を見る為だったのですが、このまま降りれば額田駅まで行けるんじゃね!?という軽いノリでそのまま下に降りることにしました。送信所も見れるし日々の運動不足解消にもなる、これぞ一石二鳥!と言ったところでしょうか。この言葉はこういうところに使うのです。

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 ちなみに中腹からの眺めはこんな感じ、奥にあべのハルカスも見えますね。

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 さて、麓に降りてきました。こちらが枚岡公園、木々が生い茂る自然豊かな公園とでも言いましょうか。

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 5分ほど歩いてきたところがこの旅のゴール、近鉄奈良線の額田駅です。ここまで距離にして4キロほど、標高にして570mぐらいを降りてきました。所要時間は2時間弱と言ったところでしょうか。ここまで来れば10分に1本電車がやってきますから大阪市内まで一本で帰ることができます。ちっちゃくて可愛いこの駅、奈良線で一番乗降客数は少ないようですが、一気に都会に出てきたような気分になってしまいますね。

 

 さて、まあここまで在阪局(+TVN)の電波塔を見てきたわけですが、ハッキリ言って疲れました。テレビなんてものは家でコタツに入りながらぼーっと見るのが1番であり、送信所までわざわざ行くなんてことはする必要は普通ありません。

 しかし、日々の放送を維持するために山の上まで向かい、作業をしている技術者の方々のことを考えれば、テレビの番組を見れるありがたみも少なからず分かるのではないでしょうか。それを体感することができる旅だったと感じますね。皆様も運動がてら"放送の現場"である生駒山を歩いてみるのも、案外悪くないのではないでしょうか。ちなみに慣れないような歩き方をしたので翌日筋肉痛でベットから起き上がれませんでしたとさ。バイトに行く途中に阿部野橋駅の階段で疲れてどうするよわたし。